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ニューパル独自の高揚感。秘密は計算された「音の演出」にあり
―― 山佐にはサウンドプロデューサーとして入社されたのですか?

T.MoRi いえ、全く(笑)。
何故か営業職として入社し「アストロライナー」の実機を販売していました。
東京都内で営業していたので、目撃された人もいるかも?!

―― サウンドに転向した理由を教えてください。

T.MoRi ニューパルサーのサウンドを開発しようと決めた当時、音制作の知識がある人間は私だけだったからです(笑)。
でも、中学生の頃から趣味でパソコンを使用したコンピューターミュージックを制作していたので、不安は全くありませんでした。入社2年目の時の話ですね。


―― 作曲に不安がなかったという事ですが、すぐにメロディーは浮かびましたか?

T.MoRi いえ、一筋縄ではいきませんでした。
歌謡曲が普通に流れるのと勝手が違うんですよ、パチスロの曲って。
ホールで鳴らすサウンドはどんな感じの物が良いのだろうか、どういった感じで鳴らせば良いのか、ホール内で流れている店内放送の曲と被らないような曲ってどんなものなんのだろうか?ってね。
それに単なる自己満足の曲ではホール内にはおろか、プレイヤーにも響かないですから。
まずは、ホールでパチスロを打ってみながら検討してみました。
現在のホールでは店内放送はほとんど無く、障害は少ないですが、当時は、軍艦マーチが鳴り響く店もまだ多くあり、通常の曲ではダメだと判断しました。


―― 最初に完成した曲は?

T.MoRi ボーナスゲームがスタートする時の、ファンファーレとボーナス中のサウンドですね。ホールで流れる事を考慮して、最善なものが無いか模索することからスタートしました。
ファンファーレは、耳に残り易く、それでいて勇ましい曲を目指しました。
もちろんリズムも曲に合わせ、補うように鳴らすよう意識するのも忘れませんでした。


―― では有名なビッグボーナス曲が一番の難関だったのでは?

T.MoRi ビッグボーナスの曲は、やはりボーナスに当選した優越感、満足感を得るような曲を目指しました。
でもメロディアスにはしないで、何度聴いても飽きのこないよう工夫するのが大変でしたね。
あと、この曲のテンポはボーナスが当たった時のドキドキした心拍数に同調しやすいようにしていたりします。
心拍数と曲がマッチした時の興奮はプレイヤーにとって刺激的ではなかったでしょうか。
ちなみにレギュラーボーナスの曲は、当時、おまけの要素が強いゲームだったんですよ。
なのでプレイヤーを焦らすように、曲調も早足的な感じのテンポで鳴らしています。


―― 当時のサウンドの開発環境を教えてください。

T.MoRi 当時の音源はYAMAHA製のYM2413(※)というFM音源チップを使用していました。この音源は同時発音数が6和音+リズムが発声可能でしたが、効果音と曲を同時に鳴らすのに苦労しました。
例えばボーナス曲にだけ全和音を使うと、ボーナス中は効果音が鳴らなくなってしまいます。
また、割り込みで効果音を鳴らそうとすると、曲が途切れ途切れの細切れ状態になってしまいます。
そこで、曲を全和音で鳴らしている時に効果音を鳴らすときは、効果音の使用分だけ一時的に曲の音数を減らして、効果音が鳴り終わった後に復帰させるようにしました。
それでも低音は常に聴こえるようにしたかったので、メロディーラインの一部を休止させるようにしました。
初代ニューパルサーと「R」は、効果音が鳴っている間、メロディーの一部が消えるようになっています。

それと、ファンファーレの後にわずかに無音が入っているのを気づいた人は居たでしょうか?
これはファンファーレの余韻を残しつつ、ボーナスサウンドへ移行させるようにと、わざと休符を入れてあるのです。
ボーナス曲にそのままフェードイン出来ればなお良かったのですが、当時のデータ容量制限により無理でした・・・。
それと言うのも、当時の規定で「メインのROMに準拠する事」というものがありまして、 容量がわずかトータルで3キロバイトしかなかったんですよ。
その中に、通常効果音、ファンファーレやボーナス曲すべてを盛り込まなくてはいけないという厳しい条件下でした。
専門の人じゃないと分かりにくい話だとは思いますが、色々とキツイ環境だった事は確かですね。

※当時はポピュラーなFM音源チップで、8bit家庭用ゲーム機「セガマスターシステム」やパソコンのMSX2+に搭載されたことでも知られている。
パチスロ筐体でFM音源チップを搭載したのは、初代ニューパルサーが初めての試み。
当時使用していた機材(PC-98!)は現在もそのまま残っている。素材が豊富にある現在の「打ち込み」とは違い、当時のFM音源の音色作りは結構な苦労が伴い、職人の腕の見せ所であった。
いまだから明かせる、市場に出なかった幻の機種の話

T.MoRi ニューパルサーの開発初期の名前は実は「パルサーエース」だったりします。
後々、諸事情により社長が「パルサーエース」を「ニューパルサー」に改名しました。
なので、当初はパルサーエース用のビッグボーナス曲も用意しました。
しかも歌詞付きで(笑)。
曲データは現存していませんが、歌詞は頭の中に残っています。
「いざ、パルサーエース、その力を見せてやれ!」と、とても短く強気な歌詞です、ハイ。


―― それでは、作ってボツにした曲があるということですか?

T.MoRi レギュラーボーナスの曲は「パルサーエース」と「ニューパルサー」では殆ど同じで、低音があるか、無いか程度の違いでした。
それ以外は「パルサーエース」独自の曲でしたが、ボツにするのが惜しかったので、 少し手直しして、ファンファーレ音を「ピンクパンサー」に使用したりしました。
終了音も、後の「セブンリーグ」のエラー音に使用したのですが、これはあまりにも静かな曲で、エラーという感じじゃなかったかも・・・。
今考えると「パルサーエース」はお蔵入りして正解だったのかも知れません(笑)。

「ニューパルサー」の終了音は次機種用に作曲していたボーナス曲をアレンジして搭載しました。
ですが、元々ビッグボーナス曲用として準備していたものなので曲が長かったんですよ。
そのため「いつまでも終了音が流れるのは良くない」という開発側意見と、「全部を聴かせたい」という私の意見が対立しました。
苦肉の策として結局、曲のテンポをかなり上げて、一応曲を終りまで鳴らすようにしました。
その結果、なんだかチンドン屋さんっぽい音になっちゃいましたけど(苦笑)。
エラー音は開発当初から変わっていません、初めからピーポーピーポーと鳴らしたかったので。


先駆者だからこその苦悩と対立、そして成功

―― 14年前当時、サウンドの周囲の評価はいかがだったのでしょうか。

T.MoRi 社内では最初「低音なんてホール内の騒音の中で鳴らしても意味が無い」とか「リズムなんて聞こえないのに作る意味があるのか?」とか、実は散々な評価だったんですよ。実際、世に出るまで「(音楽は)まぁ、無いよりマシ」とまで言われるほど音楽の価値そのものが全く認められてなかったんです。

ですが、いざ蓋をあけてみるとユーザーさんからはもちろん、販売を委託している
ディーラーさんからも大絶賛でした。
当時の業界では「有り得ない」「タブー」とも言われた低音とリズムを使ったり、他社に先駆けてFM音源によるメロディー制作には、最初、不安や戸惑いもありました。
ですが、曲を皆さんに認めていただいた事で自信がつきましたし、 現在のパチスロサウンドの基礎を築き上げたのは私だ!と今も誇りに思っています。

そうそう、当時の音楽への感想で「とても綺麗なメロディーだ、女性が作ったのか?」と言う声もいただきました。当然ながら私は男ですので(笑)。<※>

<※>繊細さを評価されてちょっと嬉しかった、という意味です。
   MoRi氏にそういう趣味があるわけではございません。念のため。

―― 最後に、T.MoRiさんにとって「ニューパルサー」とは?

T.MoRi 例えて言うなら、プロデューサーとアイドルのような関係でしょうか。
手塩にかけて育て上げた「ニューパルサー」がここまで来れたのも、ひとえにユーザーの皆様方のお陰だと思っています。
4号機の「ニューパルサー」はもうすぐ引退の時期となりますが、サウンドとともに、いつまでも皆様の記憶の片隅に留め続けて頂ければと思います。
現在のT.MoRi氏のデスクを拝見。鍵盤やスピーカーなど、サウンド開発の機材が満載だ。 今後もここから様々なT.MoRiサウンドが生み出されていくことだろう。

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